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老人と宇宙(Old Man's War)

カテゴリ:小説

ジョン・スコルジー著 内田昌之訳、早川書房刊

「SF」というジャンルは、文学の中でも「もしこうだったら、どうなのか」という「if」の面白さが、最も発揮されるジャンルだと思います。

説明するまでもないでしょうが、かのロバート・A・ハインラインの名作「宇宙の戦士」は、両親に対する反発と、憧れの彼女にお近づきになりたいという、モラトリアム期の若者に良くある動機から宇宙軍に志願入隊した主人公が、訓練と実戦で鍛えられ、軍人としてはもちろん、人間としても育っていく物語です。

一方この「老人と宇宙」では、主人公は75歳の老人。つまり、戦争と若者を扱った定番である「宇宙の戦士」に対して、「もし入隊するのが、十分に成長した人間だったらどうだろう」という、「if」の物語。ちなみに志願動機は「若返り」。

映像化の可能性も踏まえてあるのか、アクションシーンに多くのページを割いてますが、ハイパードライブや軌道エレベータについての興味深い解釈も登場して、ハード面でも面白く読めます。

この作者は、この作品のあと、外伝的な作品も何作か書いているようですが、まだ日本語版は出てないようです。もう何作か読んでみたい。

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「なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか」

カテゴリ:小説

なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのかスーザン・A・クランシー著、早川書房刊。
ノンフィクション。というより一種の学術書でしょうか。

エイリアンによる誘拐―アブダクションされた(と本人は信じている)人たちへの聞き取り調査から、人はなぜあり得ないことを信じるのか、あるいは、あり得ないことをあったと記憶するのか。また、何らかの理由でなにかを信じるにしても、なぜ「エイリアンに誘拐されて金属を埋め込まれた」だの「精子を搾り取られた」だの「腸に針を刺された」だのといった、「最もありえそうにない話のひとつ」を信じてしまうのか。それらを心理学の見地から探った書です。

著者は科学者なので、事実としてのアブダクションについてはもちろん否定的なのですが(肯定する科学者も出てきますが)、だからといってアブダクション信者―ビリーバーを「非論理的で、愚かな人たち」とはしていません。むしろ「宇宙人による誘拐」の解釈は、人の心の不安を(ビリーバーに対して)説明し、解消する手段として有効なものであろうと結んでいます。

結論を理解はできるのですが、全面的に受け入れるかとなると、ちょっと抵抗があります。盲信が個人のテリトリに納まるのなら、ニセ科学への盲信も(多少疑問はあれど)有効な精神安定法の一つとして肯定も出来るでしょう。しかし、たいていのビリーバーは、自身の個人的経験に基づく事実―いわゆる「体験談」を他人と共有することによって、自身の経験は客観的な事実であると解釈しようとします(このことは本書にも出てきます)。早い話、たいていの盲信は個人のテリトリには収まらず、同じ形質をもった他者に伝播しやすい。そしてそのような盲信のネットワークは、悪徳の狙うところとなり、社会的不利益をもたらす事が少なくない。

ま、難しい話は置いといて。

人がなぜ非科学を信じるのかや、なぜビリーバーは説得されないかについてユーモアを交えて書いてあり、たいへん読みやすい一冊となっています。

最後にこの本を読まない人向けに、重要だと思われる部分を抜き出しておきます。これはオカルト・マニア方面では有名ですが、一般には意外と知られていない事実だと思います。

40年にわたるじゅうぶんな研究の結果、催眠は記憶を回復させるのに好ましい方法ではないことがわかっている。実際に起きた出来事の記憶を取り戻そうとしても、たいていは役に立たないばかりでなく、偽りの記憶 ― 現実の出来事ではなく、人から言われたり、自分で想像したりした出来事の記憶 ― を作り出しやすくなるのだ。
(中略)
さらに悪いことに、取り戻した記憶はきわめて本物らしく見えるので、あなたもセラピストもそれに気がつかない。

第3章「もし起きていないなら、なぜ記憶があるのか?」91ページ目より

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こないだ買ったCDとか

カテゴリ:小説 音楽

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(左から)
■「ヤミナベ・ポリスのミイラ男(梶尾真治/光文社文庫)」
復刊です。廃刊で手に入らないかと思われていた作品が、ようやく読めるようになりました。これも「黄泉がえり」のおかげなんでしょうね。ちなみに私、梶尾作品はほとんど持ってますが、「黄泉がえり」は買ってません。表紙が映画の映像というのもありますが、一番の理由は、梶尾作品の長編で面白いと思った記憶が無いので・・・。

■「another mind(上原ひろみ/TELARC)」
上原ひろみのデビューアルバムです。「Kung-FU World Champion」が聴きたくて2ndの「Brain」を買い、やはり良かったので、今回1st、3rdと買いました。

■「Spiral(上原ひろみ/TELARC)」
で、その3rd。初回特典のDVD付きのが1枚だけ置いてあって、ラッキーでした。DVDには、横浜のライブでの「Kung-FU World Champion」が収録されています。うひょー、かっちょいい!CDには、「Return of Kung-FU World Champion」が収められていて、これまたかっちょいい。商業主義に染まってフヌケてしまった最近のPOP系ROCKより、JAZZシーンのほうがよっぽどヒップですね。

■「ひとり(柴田淳/Dreamusic)」
前に「ちいさなぼくへ」が聴きたくて「わたし」を買って、やはり良かったので(こればっかりだな)、買いました。「わたし」のひとつ前のアルバムにあたります(だぶん)。

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膚(はだえ)の下(神林長平、早川書房)

カテゴリ:小説

月戦争の影響で死の星と化した地球。生き残った人々は、全人類を冬眠状態にして火星へ移送し、機械人と人造人間―アートルーパー―に地球環境を再構築させ、250年後に帰還する計画を開始。しかし人類の一部には、地球に残留したままでも地球の復興は可能で、そうするべきだとする集団も存在した。そうした集団の強制保護活動に借り出されたアートルーパーたち。そのひとり、人間に最も近い仕様のエリファレットモデルである慧慈(ケイジ)は、アートルーパー訓練教育部隊指揮官、間明(マギラ)少佐から、一つの問いを投げかけられる。

『われわれはお前たちを創った。お前たちは何を創るのか?』

「生きる」とはどういうことか。自然とはなにか。神とは何者なのか。「創造」するとは?読んでいる間中ずっと、「私はこうする。お前はどうなんだ」と問われているようで、実際ひとつ、身につまされるくだりがありました。恥ずかしいからどこかは書きません。

しかし、こんな作品を生み出せるのは、世界広しと言えど、神林長平ぐらいではないでしょうか。宗教的に中立で、しかし根底にはアニミズムや仏教思想が根を張っている、ここ日本だから生まれた作品だとも言えるでしょう。こういう作家が存在する時代、国に生まれてよかったと、真に思います。

この作品を読む人の魂に安らぎあれ。

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最近買った本とか

カテゴリ:漫画 小説

カメラを買った勢いで、アマゾンで大量に本を購入しました。以下内訳け。

  • 「とり・みきの大雑学事典」(とり・みき)
    いろんな「物」にひっかけた、エッセイだったりコメントだったりの集まり。
    届いて表紙を見て「あら?見たことあるような」。中を読んで「読んだことあるような」。やっぱり持ってました。脱力。2冊もってても仕方にないので、知人にあげました。
  • 「キネコミカ」(とり・みき)
    映画をネタにした短編ギャグ。
    方向は「SF大将」と同じ。ネタ元の映画を知ってるとさらに笑える。幸い私は親の影響で古い映画もかなり見えてたので、笑えました。親に感謝。感謝のしどころが違うような気がするけど。元ネタからはるかに乖離している回もありますが、それはそれで笑えます。
  • 「言壺」(神林長平)
    高度な擬似人格を備えた文書作成支援機「ワーカム」。作家である主人公は、ワーカムに「私の母は姉だった」という文書を入力しようとするが、「論理的ではない。意味がわからない」とワーカムに拒否される。裏技的な方法で入力に成功した瞬間、言語空間が崩壊し、世界が変容し始める。
    コンピュータープログラムについて知識のある人なら、理解しやすく、さらに面白く読めると思います。
  • 「麦撃機の飛ぶ空」(神林長平)
    雑誌等に掲載された短編を集めたもの。あの独特の世界構築はほとんど出てきません。装丁どおりの、おとぎ話のような世界観のものが多いですが、内容は大人向け。
  • 「小指の先の天使」(神林長平)
    今読んでます。
  • 「膚(はだえ)の下」(神林長平)
    まだ読んでません。本の厚さが5センチぐらいあります。こんな分厚い本だとは思わなかった。読みでがありそうなので、最後にまわしました。

あと同時期に、吾妻ひでおの「失踪日記」も購入。これは書店で。作者自身の失踪時の実録が、あの絵でほわんと描かれています。ある意味ハウツーもの?

やらなくなったゲームを売り飛ばして、流出した財政を補強。

しかし、スターブレードαが売れて、ドラクエ7が「値段がつきません」と返ってくるのはなんとも。

返ってきたのはすべて途中であきて投げ出したやつばっかりなのも泣けます。

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